bookshelf 『イトウの恋』 中島京子 忍者ブログ
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32022087.jpg  中学校教師が屋根裏で見つけた手記、それは明治初期、日本にやってきた
 イギリス人女性探検家「I・B」の通訳を務めた日本人男性「イトウ」の手に
 よるものであった。

 しかし手記は前半部分しか残されておらず、彼は「イトウ」の子孫である
 女性マンガ原作者を捜し当て、一緒に手記の行方を追う、
 というものであります。

 この「I・B」と「イトウ」は実在の人物でありますが、そのほかは作者の
 フィクションのようですね。

 作中に展開されるイトウの手記が素晴らしく、ぐいぐい読ませます。
 反発しながらもどうしようもなく「I/B」に惹かれていくイトウの
 心情描写が秀逸です。

 それと対照的に、現代の展開が軽すぎるように感じるのですが、これは計算なのでしょうか?
 正直なところ、現代の展開はちょっと物足りない。

 あちこち含みを残したままの終わり方と、構成がなかなか良いと思いますが、なにより、
 この題材が素晴らしい。目の付け所がすごい。

 自分の人生を生きなさい、というメッセージは真新しいものではないですが、
 「おまえ自身の【不可思議な】人生を生きるのだ」というこの【不可思議】が深い味わいと
 なって残る作品であります。


忘却の河」 イトウの恋 ★★★★
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